Web3徒然ブログ

Web3という大きな波に会社員エンジニアはどう対峙すべきか。クリプト、NFT、DeFi、メタバース…多様な情報に触れ思考したことを発信します。どこにでもいる会社員だからこその、日々の気づき、ビジネスTipsも発信します。

国が権力を振りかざすなら、デジタル改革に挑戦する会社が減る

こんにちは。

今日の結論としては、
国が権力を振りかざして、後出しの変更契約に圧力をかけたなら、
国のデジタル改革のために挑戦しようとする会社は委縮してしまうな、
という考えです。

また、大手ITベンダ側としてのアクションプランとしては、
以下のようなお客さんへの接し方をしていくべきだ、と考えました。
・お客さんのIT知識を下に見ず、尊重する態度で接する。
(言葉を選ばず表現すると、ITのことが分からない相手と決めてぼったくるような態度は
絶対にNG)
・お客さんが不信感を感じないよう、成果物と金額の根拠は納得感を与える説明をする

この報道から考えた問題点

報道の要旨としては、
・オリパラシステムで、不要となる機能(顔認証)部分の契約が、ゼロになった
・73億円⇒38億円への契約金変更
平井大臣が、側近の幹部に、NECへ圧をかけろというような強い言い方で指示
・音声が流出し、今回の報道に

いろんな問題が複合的になっています。問題点としては、
以下でしょうか。
1.開発途中の変更契約で73億円⇒38億円と大幅に契約額を減らすことが成立したこと
2.73億円という金額が、アプリ開発(周辺機器などハード面があるとしても)のみへの対価であること(
(NECが国にふっかけている金額では?)
3.音声が流出していること

ここでは、1.の問題について、私見を述べたいと思います。

要件がなくなった部分への対価がゼロ、ということの違和感

この報道以前の記者会見でも、なくなった要件部分への契約金はゼロにした、
という発言がありました。
定例記者会見 オリパラアプリ(統合型入国者健康情報等管理システム)契約の見直しに関して 20210601② - YouTube
f:id:EternalBlueBullet:20210611203119p:plain

6月にはリリース予定だったというからには、
当然上流工程では、顔認証機能と、アプリの他部分との
連携だったりがインタフェース的に問題ないかだったり、
様々な作業があったはずです。

委任契約ならば、上流工程で生じた人件費は払うべきだし、
請負契約なら、上流工程での成果物には、対価を払うべき。

そこがゼロというのは、国がITの開発をまだまったく理解できていない
ことを示してしまっているのでは?とも解釈できてしまいます。

平井大臣の公式ブログの声明を見ると、
「サービスが完了した後に費用を払う契約」だったとのこと。
うーむ、請け負う会社にとっては、不利な契約だったのではないか。
コロナっていう外的要因とはいえ、作ってきたものの要件がひっくり返ったら、
それまで投入した工数が無駄に帰してしまうのだから。

国のシステムに挑戦するスタートアップが怯んでしまう

今回、NECということで資本には体力がある企業だからこそ、
無題に帰した工数も、他事業からリカバリ、補填できるのではと考えます。

政府の案件で一躍躍進を狙うスタートアップだったら、
投入した資金がそのまま負債となり、つぶれてしまうこともあり得ます。

平井大臣の方針では、国のデジタル改革には、実力のあるスタートアップを
積極的に起用していく、ということを言っていた。
それだけに、未来につながる挑戦をする企業の、機会を奪うことに
今回の事例がつながらないか、心配に感じました。

平井大臣も、様々なプレッシャーがある

国の血税を無駄にするな、とう野党の声など、
様々にプレッシャーを感じていたとのこと。

ベンダーの言いなりになって交渉していたら、
なめられてしまう、という動機もあったようです。

平井大臣は、ITのプロダクトがどのように作られるか、
理解している方のはず。これまで私が見たインタビューなどの
発言からは、確かにそう思います。

それだけに、今回は感情的な、焦りが冷静な判断を勝ってしまったのでは
ないでしょうか。

ITエンジニア側の視点でも、納得のいく結論になっているかどうか、
周りにもわかる人がいるはず。

過激な発言で物事を進めようとしたことには、再考していただいて、
これからの冷静な推進を、期待しています。

大手ITベンダー側として、得られる教訓

今回の事例から考えると、大手ITベンダーの教訓としては、
以下のようなお客さんへの接し方をしていくべきだ、と考えました。
・お客さんのIT知識を下に見ず、尊重する態度で接する。
(言葉を選ばず表現すると、ITのことが分からない相手と決めてぼったくるような態度は
絶対にNG)
・お客さんが不信感を感じないよう、成果物と金額の根拠は納得感を与える説明をする

今回、平井大臣が「NECになめられないように、強く減額は交渉するべきだ」
という動機での発言でした。
これは推測に過ぎないですが、NECが、73億円という高額の契約金を、
契約の中身をしっかり精査できない(ITのことはわからない)国に対して
ふっかけた、ともとれる言動があったのかもしれません。

平井大臣としては、デジタル庁の権威も今後確立していくために、
ベンダーから国の調達を甘く見られたくない、ちょろまかすことができる
相手と思われてはいけない、という焦りもあると感じます。

だからこそ、お客さんのIT知識を下だと決めつけず、真摯に
お客さんのことを考え、協業する仲間という感覚で接することが
できるベンダーは、平井さんからの信頼も得られるのではないでしょうか。